スポーツ障害:靭帯損傷

【靱帯損傷】

関節部で骨と骨を繋ぐ靱帯は、運動を行う上で重要な役割を果たしている器官と言えます。
しかし、多くのスポーツ障害の原因となるオーバーユースで傷つくことが多い部位でもあり、靱帯が損傷を受けることも少なくありません。
ここでは靱帯に起こるスポーツ障害としての靱帯損傷を解説していきます。

靱帯損傷について

靱帯は、関節部で骨と骨を繋ぐ役割を持った器官です。タンパク質が主成分の筋肉とは違い、靱帯は軟骨などと同じくコラーゲンを主成分としています。丈夫な器官と言える靱帯も、スポーツの内容によっては損傷してしまうことがあるのです。

靱帯損傷の概要

靱帯損傷は、脱臼などの関節に起こるスポーツ障害によって引き起こされることが多いと言えます。靱帯は関節を構成する骨と骨を結びつけるようにして存在していますが、脱臼で関節を構成する骨が引き離されると強く引っ張られて伸びてしまうのです。靱帯はゴムのような働きを持っていますが、必要以上に引っ張られるとゴムと同じく強度が落ちて千切れてしまうのです。また、靱帯の伸縮を繰り返す動作を長時間行うことも靱帯損傷の原因になります。

靱帯損傷の種類

靱帯損傷は、使いすぎが多い肘と膝にある側副靱帯や膝の十字靱帯を中心として発生します。これに関節の表側と裏側、腕や脚の左右の区別が加わって四種類に分類されます。膝に起こる代表的な靭帯損傷である十字靭帯断裂は、バスケットボールやバレーボールのように膝の屈伸を伴うジャンプを常用するスポーツに多く見られます。肘に起こる側副靭帯損傷は、野球のピッチャーに多く見られ野球肘を構成するスポーツ障害の一つとなっています。

靭帯損傷の症状

靭帯損傷を起こすと、関節部の違和感と患部を中心とした運動能力の低下が症状として現れます。また、膝関節の靭帯損傷を起こすと歩行困難を起こします。関節部には痛みを感じる神経がないため、他のスポーツ障害と違って痛みを伴わないのが特徴と言えますが、痛みが無いため自覚症状が違和感や運動能力の低下などになってしまい気付かないまま放置してしまうケースも少なくないのです。

靭帯損傷の予防

靭帯損傷は、運動能力の低下というスポーツ選手にとっては一大事と言える結果をもたらすスポーツ障害です。可能であれば、発症する前に防いで起きたい疾患の一つといえます。靱帯損傷の予防の秘訣は、運動後のアイシングと体重の調整です。体重が増加しすぎると膝への負担が大きくなるからです。関節をアイシングすることで、関節への負担を和らげ靭帯の回復を促すことに繋がります。

靱帯損傷の治療

靭帯損傷の治療は、外科手術によって行なわれます。外科手術では靭帯の再建を目的として腱の自家移植を行うやり方が一般的となっています。ただし、自家移植に使用するために切除した腱は回復しにくいので、他の筋肉で代用が効く部位から切除します。手術後はメスを入れた関節周りの筋肉の回復を目的としたリハビリを行う必要があります。