リウマチ検査

関節リウマチ(RA:rheumatoid arthritis)の血液検査

リウマチ因子(リウマチテストRheumatoid Factor= RF リウマトイドファクター)

当院での正常値は15mg/dl以下です。

正常人でも1~5%で陽性になりますし、リウマチの方でも5%の方は陰性です。
リウマチ因子が陽性に出ないリウマチの方もいます。

ですからあくまでも目安ですが、この数字とリウマチの重症度はかなり比例しています。

数字が高いほど、重症になりやすい。つまり、関節の変形が進みやすい傾向が強くあります。薬が効いてくるとこの数字もある程度下がってきます。高い場合は、治療とともに低くなることが多いですが、正常化しなくても心配いりません。

CRP(mg/dl)

リウマチの勢い=炎症の強さを表す最も大事な検査値です。
血沈とほぼ同じ意味合いですがより正確です。

当院での正常値は0.30以下。

リウマチでは症状の程度によって0.5から10以上まで上がります。
(ただ風邪などでも高く出るので注意が必要です。)

コントロールの目標はずっと0.5以下におさえていくことです。

これを0.5以下に保つのと高いままにしておくのとでは毎日の苦痛が全然違うし、数年後の変形の程度に大きな差が出ます。つまり、薬でリウマチの勢いをおさえていけば、かなりの手術をしなくてもすむようになるわけです。

効果のある薬を十分な量使えば80%のかたはこの数字が達成できます。ただ炎症の勢いが非常に強い方はとりあえず1.0以下におさまっていれば合格と思ってください。リウマチの症状と検査値は必ずしも比例しません。数字より痛み、腫れの程度がより大事です。

抗CCP抗体

抗CCP抗体は、今までのリウマチ因子検査より、はるかに鋭敏であり、正確にリウマチの発症を予測できる検査です。早期リウマチに対する診断確定度も高く、他の検査でリウマチかどうか診断がつかない場合や現時点でリウマチ診断基準に満たない症状の患者さんでも、この抗CCP抗体で陽性であれば、リウマチであるという可能性は高くなります。

もし、抗CCP抗体が陽性で、リウマチっぽい症状が多少なりあれば、MTXを即座に投与し、症状が消失するまで治療を続けるのが、当クリニックの方針になっています。

抗核抗体

リウマチの患者の20-30%で陽性になります。

ただし、まったく健康な人でも4%(女性ではさらに高率)が陽性、高齢者では健康人でも30%も陽性に出ますから、あくまでもおおざっぱな検査です。診断をするうえでの参考程度に使います。

もっともよくみられる誤りは、抗核抗体陽性=SLEや全身性硬化症などのリウマチ以外の特殊な膠原病(難病)という思い込みです。

確かに、これらの膠原病も、最初はリウマチのような関節痛で発症し、リウマチと区別がつきにくいことがあるのですが、頻度的にはやはり関節リウマチのほうが圧倒的に多いのです。

血球 WBC RBC Hb Ht Plt

薬の副作用で減っていないかをみています。
リウマチが悪いと貧血(赤血球が少ない)になることがあります。

肝臓 ALT AST

薬の副作用が起こっていないか。多くの薬の中止で落ち着きます。

MTXや結核の予防薬を飲んでいるときは、少しの肝臓の数値が上がっても注意しながら薬を使い続けることがあります。

腎臓 BUN Cre

痛み止めの飲み過ぎや水分不足で数値が悪くなることがあります。

カビの感染 βDグルカン

カビによる肺炎を起こしたときなどに高くなります。弱陽性は問題ありません。

肺の炎症 KL-6

リウマチ性間質性肺炎や薬による肺障害で高くなることがあります。

※毎回すべての項目を検査するわけではありません。
  薬の種類、量や状態に応じて適宜検査をします。

リウマチかどうかの採血以外に感染症がないかの検査も大事です。

日本人に多い感染症を持っていないかチェックします。

リウマチの治療を始めて、潜んでいた感染症が発症する方が稀にいらっしゃるからです。

あらかじめチェックすれば、対策が立てられます。特に気をつけるのは、結核と肝炎です。

結核

ご本人か家族が、結核・肋膜炎・肺浸潤などと言われた方は教えてください。
確認のために、肺のレントゲンとツベルクリン反応を確認します。

ウィルス性肝炎(B型肝炎・C型肝炎)

日本人の60歳以上の3割は気付かずにウィルス性肝炎に感染したことがあるという報告もあります。採血でチェックすることができます。

今まで肝炎と言われたことがある方は教えて下さい。より詳しい採血をします。

関節リウマチと診断されてから

治療の効果と炎症の程度をみるため CRPをみます。また、薬が効いてくるとリウマチ因子(RF)も下がってくることが多いのでこれも参考にします。

副作用チェックのため1-3ヶ月ごとに、血液像、肝機能、腎機能、をチェックします。

もっとも重要な副作用は白血球の減少です。リウマチ発症当初は、白血球数が高いことが多いのですが、薬が効いて炎症がおさまってくると、徐々に減ってきます。

とくにお年寄りは注意が必要です。

リウマチの薬(特にMTX)を内服している方は必ず、指示通りに採血のチェックを受けてください。